これは私が25歳の夏、休暇中に行った佐賀県嬉野市の朝倉街道でのお話です。
当時私は独身でしたが、付き合って2年ほどの同棲中の彼がいました。仕事も同棲生活も落ち着き、そろそろ結婚したいなと思いつつも、言い出せずに彼からのプロポーズを待っている時期でした。
普段の生活の中で、彼には悟られないようにちょこちょこ結婚について話すことがありましたが、彼はまだ結婚する気はなく、まだ自由に遊びたいという意見だったので、とうぶん独身なんだろうなと諦めていました。
その夏、嬉野温泉に行った際に、朝倉街道というテーマパークを見つけ、行ってみることにしました。休日でしたが、人の入りはぼちぼちで廃れてる印象でした。
中の一角に「手相占い3000円」というのぼりを掲げた小屋がありました。
それまで占いを経験したことがなかった私は、いい機会だし他にのりたいアトラクションもなかったので、興味本位で手相占いを受けてみることにしました。 中には、70歳くらいの白髪でひげを蓄えたおじいさんが座っていました。おじいさんはテキパキと私たちを誘導し、名前と生年月日を聞いて、計算をし始めました。
名前の画数などを計算してたみたいですが、とても早くて驚きました。
そしてまずは彼の左手をとり、すぐに「内臓がとても強い」「事務系の仕事が合う」「集中力がある」という分析をされました。次に私の左手をとり、「すごく頭がいい」「営業職で大成功する」「人に好かれる」という分析をされました。しかし私が今の営業の仕事を辞めようと思っていると話すと、かなり向いているのにどうしてと不思議がっていました。
そして、彼に対しては「彼女は今年中、遅くとも来年には結婚をしなければならない。今が不安でも食べていけるのなら結婚したらいいじゃないですか」と言い出しました。私たちの関係も情報も知らないのに、おじいちゃんすごいねと後で彼と笑って話しました。ひととおり診断が終わると、私たちは6000円を払って帰りました。
その後、私はついに結婚願望が抑えきれず、同棲中の部屋の更新と仕事の退職を理由に逆プロポーズをし、25歳の秋に入籍を果たしたのです。
後にこの話をした友人によると、あのおじいさんの占いは実は当たると有名で、その子も結婚前におじいさんに診てもらったそうです。
興味本位で半分冷やかしみたいな気分で受けた占いでしたが、受けてみてとても良かったなと思いました。